♪吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
昨日は予想外に雨だったが、今日は快晴となり、7:30に出撃。いつもの江戸川から関宿城経由で利根川に出る。強くはないが向風に少し手こずりながらひたすら走る。江戸川はアンダーパスでほとんど信号に止められることなく走り続けることができるのだが、数少ない信号待ちで前方に10月15日に見かけたアズーロレーザー色のCinelli Super Corsaを発見。すれ違い際に「おはようございます」と言うと、Cinelliも挨拶はしてくれたが、以前少しお話したのは覚えていないだろう。
関宿城に10時頃到着すると、なんと!!SANO MAJICが2台も並んでいるではないか!!江戸時代から8代続く船大工「佐野造船所」佐野末四郎氏が造船技術を駆使してマホガニーでロードレーサーを作ったのだ。噂のSANO MAJICを生で、しかも2台も見るなんて、今日はなんという日だ。俵万智風にいうと「関宿で 佐野まじっくが 2台でうっふんうっふん」か。オーナーさんとしばらく立話をする。
ぼくよりも年配の60歳くらいで特別マッチョでもない普通に見えるおじさんが52-13のギアで巡航できるほど、フレームとフロントホイールからのしなりが背中を押すように走るなんて、俄かには信じられないが、噂通りのようだ。木が衝撃を吸収するからお尻も痛くない。52-13つまり4倍のギアはルール改正後の競輪の最大ギアである。ぼくは追風や下り坂でもない限り、そんな大ギアは踏まないし、踏めない。無風あるいは追風で巡航するなら50-17つまり2.9倍くらいだろうか。木造艇時代からSANO MAJICと呼ばれ、海外からも注目を集めていたが、木製自転車もかなり関心が高く、海外からも買いに来るようだ。オーダーして3年待ち。価格は200~300万円。海外の金持ちが5000万円払うから売ってくれと言っても、順番を待っている人がいるからと拒否するそうだ。佐野さん凄い!!
御礼を言ってトイレを済まして、利根川を少し遡る。今日のお目当ては、前回の160km走ですっかり忘れていた静御前のお墓参りである。東北新幹線を超えてすぐの利根川橋手前で土手を外れて町中へ向かう。栗橋駅のすぐ手前にある静御前のお墓は、商店街の一角に控え目に残っているという感じで華美ではなく、観光客が来る様子もない。まずは手を合わせて、それから写真を撮らせていただいた。
静御前は源義経の側室で、白拍子という舞いを披露する美しい舞姫だったそうだ。兄源頼朝との仲違いにより東北に逃れた義経を追ったが、この地で義経の討死を知らされ、悲しみのあまり体調を崩し、1189年9月15日、義経のもとに旅立ったと伝えられる。侍女がこの地にあった高柳寺に葬り、墓標の代わりに杉の木を植えたが利根川の洪水で枯れ、その後、銀杏の木が植えられた。後の謀反を恐れた頼朝が「女子なら生かす、男子なら殺す」と予告した通り、生まれてすぐに殺害された男の子の供養塔が母の傍に設置されている。高柳寺は古河市に移ったが、静御前のお墓はこの地に残された。
魂だけでも母のもとに 伝承通り背後に銀杏の木が
静御前の終焉の地には諸説あるようだが、しばらく歴史ロマンに想いを馳せて、お茶を補給して再び走り出す。期待した追風ではなく、弱い向風のなか、最後はバテたが無事帰宅。追風は得られなかったが、穏やかな佳い一日だった。
本日の走行距離 121.1 km
累積走行距離 1576.61 km
寄付予定額 15,766.10 円