先週末は20度近い暖かい天候だったのに、今週は打って変わって雪が降るほど寒い日が続く。この週末も鉛色の空から小雪舞う寒さなので、部屋で音楽を聴きなら、COLNAGO C59と三連勝 3RENSHOを眺めながらまったりとする。

昔のロードレーサーのブレーキワイヤーはブレーキブラケットの上から仮面ライダーの触覚のようにびよ~んと出ているのが普通だった。それが1980年代後半頃からハンドルバーに這わせるエアロタイプになり、見た目がすっきりしてかなりカッコ良くなった。ぼくの初代三連勝のブレーキブラケットはすでにエアロタイプだった。そしてトップチューブの上か下を這わされていた後ブレーキワイヤーが、トップチューブの途中から中に入り、シートポストの近くで再び出てきて、ブレーキアーチにつながる加工が流行りだし、さらにすっきりした見た目になった。

ディスクブレーキ全盛の今は、ブレーキワイヤーはハンドルの中からヘッドを通り、前はフロントフォークのキャリパーのすぐ近くから出てくる。後はダウンチューブを通ってチェーンステイのキャリパーのすぐ近くから出てくる。シフトケーブルも電動シフトの細いケーブルがフレームを通ってディレイラーのすぐ近くから出てきてほとんど目立たない。あるいは電動ワイヤレスに至っては一切のケーブルがない。ディスクブレーキになってリムブレーキアーチがなくなったことも相まって、最新のロードレーサー(最近はロードバイクと言うらしい)の見た目はのっぺらぼうのように異様にすっきりしている。

のっぺらぼうと言いつつ、う~ん、確かにこれはかっこいいと認めざるを得ない。しかし、今さら新しいロードレーサーを買う余裕はないし、今のCOLNAGO C59も3RENSHOも超気に入っているので手放すつもりもない。

旧車のブレーキワイヤーを目立たないようにするにはどうしたらいいかじっくり眺めていて閃いた。以前はブレーキブラケットから出てきたままハンドルの前面に這わせていた。それが上ハンドルを持った時にちょうと指がかかって力が入りやすかった。

よくよく眺めてみると、ブラケットから出てきたワイヤーをちょっと後の方に這わせると正面からほとんど見えなくなることに気が付いた。ちょうどバーテープも汚れてきたのでブレーキワイヤーの位置をずらして巻き直してみた。

これは美しい。もっと早く気が付くべきだった。この美しさのポイントは、日本の右前ブレーキ・左後ブレーキではなく、ロードレースの本場ヨーロッパ仕様の右後ブレーキ・左前ブレーキである必要がある。ぼくは40年前からヨーロッパ仕様で組んでいるが、そうするとブレーキワイヤーが中央で絶妙に交わるのだ。なぜ日本は右前ブレーキなのかわからないが、シマノは日本の企業でありながら、ヨーロッパ市場をメインターゲットとしているので、ブレーキアーチをヨーロッパ仕様でデザインしているから、日本仕様にするとワイヤーの取り回しが異様に不自然になることは以前にも書いた。

ほとんど目立たず中央で美しく交わるブレーキワイヤー。自己満足の趣味の世界だが、それが楽しくてしょうがない。小雪舞う寒い日は温かいお茶を飲みながら、愛車を眺める。走ってなんぼのロードレーサーだが、床の間に飾っても美しいのがロードレーサーである。