ヘタレのぼくは寒くなると自転車に乗る頻度が一気に下がる。昼間は意外と温かい週末が続いていたが、正月三日に乗ったきりである。自転車に乗らない週末、「競輪という世界」(文春新書)を読み終えた。
戦後復興の資金源として九州小倉で始まった競輪は全国に最大63か所にまで増え、2000年シドニー五輪では「KEIRIN」として正式種目に採用されるまでになったが、残念なことに最近では廃止が続き今では43か所にまで減っている。多いときは5000人いた競輪選手も今では2400人である。最盛期に2兆円近くあった競輪の売上は、今は6600億円までに落ち込んでいる。競輪場に足を運べばわかる。その大多数が年金生活で決して裕福には見えない高齢者ばかりである。
なぜ競輪は衰退しているのか。競輪の主催者は地方自治体である。1948年小倉で始まるとき、まだ占領中だった日本において中央集権的なものを嫌ったGHQにより、地方自治体が主催することを条件に許可された経緯がある。主催者が地方公務員である。労せずして大きな収益が上がった頃から、ファンを増やすためのクリエイティブな努力をしてこなかった結果と言わざるを得ない。
日々厳しいトレーニングを重ね、命懸けでレースに挑む選手たち。その競輪を主催するのは競輪の売上に関係なく税金から給料が支払われる公務員である。もっと経営努力をするべきではないだろうか。
このような本が出版されて競輪 KEIRINの魅力を伝えるのは大変良いことである。しかし、その一方で、なぜ競輪の売上がここまで落ち込んでいるのか、その原因と責任を追及し、競輪を盛り上げる策を提案して欲しい。
頑張れ、競輪選手!!