役所手続があって隣町まで赴き、ついでにいつもと違う商業施設で買い物をすることになった。ちょうどお茶が切れそうだったのでの小さなお茶屋の前であれこれ品定めをする。ぼくにとっては一保堂が保守本流なのだが、たまに他のお茶を試して当りだと得した気分になる。
店頭には静岡(掛川)、福岡(八女)、鹿児島(知覧)、京都(宇治田原)、佐賀(嬉野)が並ぶ。八女茶や知覧茶は有名で何度も買ったことがあるが、嬉野茶は今まで意識して買ったことがない。佐賀といえは鬼脚をもった男・井上茂徳(41期)や闘将・佐々木明彦(43期)である。色々悩んだ末に嬉野茶を買ってみた。帰宅して早速、いつもと同じように淹れてみたらこれは大当たり。美味い!!
あらためてお茶について調べてみたら、日本への伝来は遣唐使が大陸と往来していた時代に最澄が茶の種子を持ち帰り、比叡山の坂本に植えたのが始まりというから8世紀末か9世紀初頭か。坂本から琵琶湖沿いに少し南に下った膳所のお茶がペリー来航以後、初めて輸出されたお茶という説があるが、茨城の猿島茶が第一号という説もある。
一方で、佐賀では1191年に臨済宗の開祖である栄西が宋から持ち帰った種を東背振山に蒔いたのが最初で、嬉野茶は1440年に大陸から移住した陶器職人が自宅に植えたのが始まりだとか。
京都の宇治茶は栄西より種を譲ってもらった明恵上人が栂ノ尾に蒔き、その後お茶の栽培にもっと適した場所を求めて宇治に辿り着いた。静岡(駿府)のお茶は鎌倉時代の1244年、聖一国師という高僧が宋より持ち帰ったのが始まりで、明治維新である意味失業した武士たちが、徳川慶喜と一緒に駿府に移り住み、勝海舟の奨めもあって茶園を開墾したことで一大産地になった。
各地でそれぞれの歴史があって面白い。
茶は「養生の仙薬なり、延命の妙術なり」と喫茶養生記に書き残した栄西は、酒が好きだった源頼朝にお茶を飲むように進言したと「吾妻鏡」に記されているらしい。現代医学でも動脈硬化や癌の予防等々に効果があると報告されている。難しいことはよくわからないが、美味しいお茶をいっぱい飲んで、元気に走り続けたい。
参考Webサイト
富永園茶舗 https://tominagaen.jp/transmission.html
嬉野茶事 https://ureshinochadoki.shop/user_data/know/ureshino
宇治小山園 https://www.marukyu-koyamaen.co.jp/about-tea/know-history.html
伊藤園 https://www.itoen.jp/oiocha/history/
お茶百貨 http://www.ocha.tv/growing_regions/nihoncha_producers/shizuoka/
静岡茶業会議所 http://shizuoka-cha.com/index.php/ocha